元引きこもりのモノローグ

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感想 大澤昇平『AI救国論』

 今回読んだのは、大澤昇平『AI救国論』です。それでは、思い付きで感想をつらつら。

 著者の大澤昇平さんは、高専入学後、東大に編入したという経歴があり、人工知能やインターネットを研究されていたそうです。他にも、すごい実績があるようですが、私の勉強不足でよくわかりませんでした。

 「なぜ日本は衰退し続けるのか」「文系と理系のパワーバランス」「AIのこだわる理由と新しい思考方法」などいろいろ面白いテーマがあるのですが、今回は大学受験と教育をテーマに考えてみます。

  失われた30年として閉塞感を抱える日本は年功序列などの観点からたたかれることも多いです。ですが、筆者は実力のある若者がいないことが問題であり、その原因は今の教育システムにあるといいます。浅く広く学ぶクイズ形式の大学受験や、特定分野や希少価値のあるスキルを学ぶことができない大学生活など、この日本社会には回り道が多いようです。

 筆者はその対処法として、一般的な受験よりも、AO入試などの実績を判断する入学方法や、「進学校」よりも高専という選択に切り替えるべきだと述べています。(ですが、私の周りのAO入試組や高専に行った人は普通の人たちだったと思う………。)

 私も大学生なので、自分が学んでいることは何かの役に立つんだろうか、とか、社会にとって必要な人材になれるのだろうかと不安になることはあります。(私たち若者たちは無能と言われるかもしれませんが、現実的で、昔の大学生よりもまともでまじめです。)それでも、授業をボイコットしたりする勇気も、自分の人生をかけて臨みたい夢や信念も持ち合わせていない。それが、少し悔しいです。

 最後に、筆者は社会を変える若者を生み出すための方法として、文理を融合させた教育をするべきであると述べています。それは、「広くいろいろなことを学ぶこととは違うのか?」と思いましたが、プログラミングや科学技術など社会を変える「方法」だけでなく、社会学や心理学などの「目的」も学ぶべきだということでした。社会を変えるためにはまず、人の欲望というものを理解していなければならないのかもしれません。

 さて、それでは私も、読書を通じて知識と知識を結びつけ、新しい価値を生み出したいと思います。いつまでも、何の役にも立たない人間でいるのは嫌ですから………。